こんにちは!
ノアです
北海道には
「試される大地」という
キャッチフレーズがあります
今回の記事では
「試される」を
リアルに感じたことを
お話します
このシリーズの記事
先人の呪い この負の遺産を私たちは越えられるのか vol.1
先人の呪い この負の遺産を私たちは越えられるのか vol.2
先人の呪い この負の遺産を私たちは越えられるのか vol.3
先人の呪い この負の遺産を私たちは越えられるのか vol.4
先人の呪い この負の遺産を私たちは越えられるのか vol.5
全国から集う
20年くらい前
日本の貧困問題や
生活保護などについて
学び話し合うための
有志による全国セミナーが
札幌市で開催されました
私もその主催メンバーの
一人として参加していたのですが
このセミナーの開催が
決まった時から
考えていたことがありました
全国から集う仲間に
ここで聞かなければ
もう聞けないかもしれない話を
してくれる人に
基調講演をお願いしたい
ということでした
そして基調講演の候補に
アイヌ人Oさんの
お名前を出したのです
アイヌ人の話を聞く
現地実行委員にとっても
Oさんの名前が出ることは
思ってもみなかったらしく
最初の反応は
「えっ?なんで?」
という空気でした
私はアイヌの人は
北海道の歴史を語るうえで
欠かせない先住民族であること
Oさんの話を聞くことは
日本人は単一民族ではないと
リアルに感じられる
貴重な機会になるはず
そんなことを言ったと思います
言われてみるとたしかにそれは
なかなか聞けない話だと
ほかのスタッフの賛同もあり
最期は全員の意見が一致して
私がOさんの講演関係の
担当になりました
Oさんのこと
Oさんは民話の執筆活動や
アイヌ語教室
アイヌ文化の保護など
アイヌ文化を残すため
幅広い活動を
されている方でした
ここでOさんのお名前を出すと
「ああ」と思う人も
きっといると思います
Oさんは社会的にも
ある役職を担い
そのうえの勇気ある行動で
名を馳せたことがあるのです
でもそのお名前を
ここで出すことは
やめておきます
講演の前日に
Oさんを車で迎えに行ってくれた
スタッフから
Oさんが車の中で
「何かの思い違いで
私をアイヌの代表のように
紹介する人がいますが
それは誤解です」
と言っていたことを聞いており
彼がいつどこで
何を語ってくれたのかを
お名前を出して話題にするのは
彼の本意ではないと思うからです
講演当日
私は講演をお願いした時
講演の会場で
アイヌ文化を守るための
募金を募りたい
とOさんにお話ししていました
その話をするとOさんは
ちょっと黙りました
この沈黙について
私は後に驚愕の真実を
知るのですが
この時は「あれっ?」
と感じたものの
何も気がつきませんでした
Oさんがやがて静かに
「わかりました」と
答えたからです
そのような経緯があり
講演当日私はロビーで
「アイヌ文化を守るため
志しのある方は
募金をお願いします」
と呼びかけました
呼びかけた瞬間
すぐ隣に異質な空気が
生じたのを感じました
「ぎょっとした」とか
「どきりとした」とか
そんな空気と表現して
ご理解いただけるでしょうか
私のとなりでは
Oさんの娘さんや
数人のアイヌの人が
Oさんの書籍を
売っていました
私は自分が感じた
異質な空気が何か
わかりませんでした
その正体を探る前に
募金箱にはお金が入り
隣りにいた女性は
何もなかったように
書籍販売の応対を
はじめていました
Oさんの講演に感動して
一万円を募金した人もいました
わずか15分の休憩時間に
10万円以上のお金が
募金されたのです
善意の行きどころ
セミナーの二日目15時頃
Oさんを迎えに行ってくれた
スタッフと私は
カフェで遅い昼食を摂りました
彼女は私の後輩でもあり
今回のセミナーの実施を話すと
すぐに希望をしてスタッフになった
心赦せる同志の一人でした
「実は」彼女は
周囲に人がいないのを確認し
話し始めました
「Oさんと車のなかで話していて
募金の話が出てきて」
「募金って昨日の?」
「募金を募りたいと
話した時に
Oさんがすぐに思ったのは
自分たちは
乞食ではない
ということだったって」
私の全身に
前日の異様な隣りの空気が
まとわりついてきたような
気がしました
「でもこれは善意の申し出で
アイヌの文化振興に
力を貸したいという
気持ちの現れだと
思い直した」
Oさんのこの話を
あなたはどう受け止めるでしょう
これは良い意図によるものだ
善意の現れだ
どんなにそう考えようとしても
消えない気持ち
拭えない思い
「誤解」とか「僻み根性とか」
そんな言葉では
到底語れるはずがない
根底に横たわる深い闇
Oさんは素晴らしい
人格者でした
彼の行動のすべてが
そう語っています
そのOさんでも
拭いきれない闇に
どう向き合うといいのか
その時の私は
ただ戸惑うばかりでした
ささやかな希望
今になって振り返ると
Oさんが後輩に
本音を伝えてくれたのは
とても嬉しいことでした
それはOさんにとっても
「誤解されるかもしれない」
危険な賭けだったはずですし
仮に言わずにいられない
気持ちの現れから
のことだったとしても
伝えようとしてくれた
Oさんの勇気に
先への光が見えるからです
この人は
伝えて理解できるか
(理解できてもできなくても)
理解しようとする相手か
誤解をされないか
受け止めようとするか
そんな自分の気持ちと
戦い続けている
アイヌの人たちが
たくさんいます
同じように
耳の痛い話も聞き
真摯に事実と向き合うことが
私たち「和人」にも
求められています
何よりも伝えようとすること
知って受け止めることが
消えることのない
希望であることを
信じていけたら
それが過去からの負の遺産
「呪い」を解く唯一の鍵と
なるのではないかと
私はそう思うのですが
あなたはどう考えますか?
アイヌについて興味がある方にお勧め
「アイヌ文化・ガイド教本」
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