介護を知りたい 社会は人の支え合いでできている

病気で性格が変わってしまったお父さん 家族の選択

こんにちは!

ノアです

 

前回の記事

温厚だったお父さんが

病気が原因で

性格が変わってしまった

お話しをしました

 

 

お父さんのこれからを

家族はどうするのでしょう

 

医療相談員の提案

医療相談員と

お父さんの家族は

一週間後に面接しました

 

 

約束の日に

面接室に来たのは

 

前回も会ったお母さんと

20代くらいの娘さん

 

 

さらに仕事をしている

息子さん夫婦も姿を見せ

 

 

ご家族がお父さんのことを

真剣に受け止めている様子が

うかがえました

 

 

「先週お話しをしたあと

私の方で情報を集めました

 

いまのご主人の状態を考え

 

いくつかの施設や病院に

相談をしてみた結果

 

 

おすすめできるのは

 

リハビリテーションがあって

介護を受けられ

 

介護保険を使える

介護保険老人施設が

 

受け入れもあり

最適と判断されます」

 

医療相談員は

お父さんの状態で

受け入れてもいいと

回答してきたのが

 

介護老人保健施設しか

なかったことまでは

言いませんでした

 

選択肢がとても少ないことで

ご家族の気持ちを

暗くしたくなかったのです

 

 

家族の問い

「リハビリテーションを受けて

帰宅することはできますか?」

 

 

息子さんが質問しました

 

「からだの機能が

どこまで回復するか

ということでしたら

 

やってみなければ

わかりませんが

 

 

脳の損傷の方が

回復することは

困難です」

 

 

「その施設に行くとして

どのくらい入っていることに

なりますか?」

 

今度は息子さんの奥さんが

質問しました

 

「ご紹介する施設は

退所を希望したり

よほどのトラブルで

退所を求められなければ

最後までいられます」

 

 

医療相談員は

施設のパンフレットを

家族に示しました

 

「みなさんで

見に行ってみては

いかがでしょうか」

 

ご家族の間に

妙な空気が流れました

 

もしかすると

何が起きているのか

気配を探りながら

 

 

「間違っていたら

申し訳ありませんが

 

もしも施設を考えることが

ご本人を見捨てるような

お気持ちになるなら

 

その必要は

ないと思いますよ」

 

医療相談員は言いました

 

「施設は専門家による

適切な介護と支援が

受けられます

 

ご本人も慣れたら

快適に過ごせます」

 

医療相談員は

ご家族の表情に注意しながら

そう話しました

 

 

お母さんの話

ここではじめて

お母さんが口を開きました

 

「夫は本当に温厚で

思慮深い人です

 

 

家族との約束は

自分が徹夜で仕事をしてまで

必ず果たしましたし

 

私たち家族を

とても大切にしてくれました」

 

お母さんは

ここで言葉につまりました

 

医療相談員は

「どうしてこんなことに」

というお母さんの

心の声を聞いた気がしました

 

息子さんの話

息子さんが再び

口を開きました

 

「こちらを退院したら

父は家に連れて帰ります」

 

 

考えていなかった言葉に

医療相談員は

「えっ?」

と問いかえしました

 

「家族でよく話し合いました

本人も帰るつもりでいます」

 

家族の決断

ここではじめて

娘さんが言いました

 

「父は本当に最高の父です

大切な父を

私たちは家族で

世話をしていきたいのです」

 

 

「お家でお世話をするのは

大変ですよ」

医療相談員は言いました

 

「今のお父さんの状態は

もとに戻らないですよ」

 

言いながらひとりひとりと

眼をあわせるたびに

 

みんながきっぱりと

うなづくのです

 

息子さんの奥さんも

まっすぐに

医療相談員の目を見て

しっかりとうなづきました

 

 

 

蒔いてきたもの

これはその担当の

医療相談員から

聞いた話です

 

この面談の時に彼は

これはできるだけの

在宅支援の体制を

 

考えるしかないと

腹をくくったそうです

 

 

その後

この家族がどうなったのか

お父さんを家で看取ったのか

 

あるいは家族にも

何か変化があって

お父さんにどこかに

入ってもらったのか

 

知る術はありません

 

言えることがあるとすると

その後の現実が

どうだったとしても

 

倒れるまでの

お父さんの生きざまが

 

「どんなに大変でも

お父さんを家に連れて帰る」

 

という家族の決心の

根底を形にしていたのは

まぎれもない事実だということです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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