介護を知りたい 社会は人の支え合いでできている 高齢者の生活 家族にできること

老いた親の気持ちと子の思い ともに過ごせる時は長くはない

こんにちは!
ノアです

みなさんの親は
今お幾つですか?

 

 

睡眠習慣を維持する

 

はじめに私の母の晩年の
できごとをお話しします

 

母はもともと夜型人間で
ひとりでいると1時2時まで
起きている人でした

 

亡くなる前に
約1年間の入院生活と
介護施設での生活で

夜は遅くても9時には
布団に入る習慣が
身についたはずでしたが

 

帰宅して在宅生活になると
その習慣が簡単に
壊れてしまったのです

 

睡眠時間が
ちゃんと確保されることは
誰にとっても大切ですが

 

特に高齢者にとっては
体力の維持に直結します

 

 

母が施設生活から
在宅生活になった時

私は睡眠サイクルを
施設生活のまま

しっかりと維持するように
何度も母に言っていました

 

 

起きていた母

その頃の私の生活拠点は
母がいた札幌市から
約150キロ離れた町でした

 

約2週間に1回
金曜日に仕事が終わると

夫と車を運転して
札幌市に戻るという
生活が続いてたのです

 

夕方の6時頃に出発し
到着するのは9時頃

 

ですから母には
私たちを待たないで
寝るようにと言っていました

 

 

ある日のことです

 

その日は出発が遅れたので
到着が少し遅れること

先に休んでいるようにと
あらかじめ念をおしておきました

 

 

ところが私たちが家に着くと

寝ているはずの母が
玄関で出迎えたのです

 

「おかえり」と言う
母の声を聞くまでもなく

 

「なんでこんな時間まで
起きているの!」

私は母を頭ごなしに
しかりつけていました

 

 

優しくできない

数十年前に読んだ漫画で
忘れられない話があります

 

主人公の少年が
公園で取りに餌をあげている
老人と出会います

 

老人は動物園の飼育員を退職し
娘一家と生活していました

 

いつも仕事で疲れて
イライラしている娘は

年老いている自分の父に
イライラをぶつけます

 

老人は娘の大変さを思い
いつもそれを
黙って受け止めています

 

その老人が孫に言われます

「おじいちゃんいつ死ぬの?

おじいちゃんが死んだら
おじいちゃんの部屋が
僕の部屋にしてもらえるの」

 

親としての気持ち

そんなある日のことです
娘が熱を出して寝込みました

 

老人は悪い足を引き摺り
娘が子どもの頃に
病気になると食べさせた

娘の大好きなバナナを
買いに出かけます

 

一刻も早く
娘にバナナを食べさせたくて
一生懸命に歩くのですが

老人は暴走車に跳ねられて
亡くなってしまいます

 

主人公の少年は
道路に転がったバナナを
娘に届けて老人の死を伝え

 

娘は老いた老人に
優しくできなかったことを
後悔して泣き崩れます

 

私はこの話を泣きながら
読み終えました

 

どうして老いた親に
優しくしてあげなかったのだろう

 

ひどい娘だと思いました

 

でもこの娘の姿は
そのまま私の姿だったと
ある日気が付いた時には

もう母はこの世には
いませんでした

会えなくなる前に

離れていると

今度会ったら優しく話そう

とか

もっと話を聞いてあげよう

とか

考えるのですが

 

 

母の顔を見ると
そんな気持ちは
どこかに行ってしまい

 

くどくどした話や
もたもたした動きに
イライラしていました

 

もちろん身体的な危害を
くわえたことなどありませんし

 

まったく理不尽なことで
八つ当たりをしたことも
ないのですが

 

母の言動に対しては
ずいぶんきつく当たっていた
記憶があります

 

 

お話ししたように
母が遅くまで起きていたのは

私たちが無事に着くか
心配だったこともあるでしょう

2週間ぶりに会えることが
嬉しかったのかもしれません

 

私が待っていた母に
いきなり浴びせた言葉は

そういう母の気持ちを
まちがいなくしかもいきなり
踏みつけたものでした

 

今でも思い出すと私が
母に投げつけた物言いは

虐待だったのではないかと
感じるほどです

 

母が亡くなった後
様々なことを思い出し
遺品を整理しながら

私は自分が母にしたことに
やっと気が付きました

 

なによりも
そんな自分の仕打ちを
取り戻す術がないことに
泣くしかありませんでした

 

どうかあなたは
老いた親に優しくしてください

ともに過ごせる時に
限りがあることを
忘れないでください

 

それが母が亡くなって
5年半が過ぎた私の

ささやかな思いです

 

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