こんにちは!ノアです。
労働福祉制度のお話です。
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こちら からご覧ください。
給与明細見てますか
給与明細をもらうと、
最初に見るのは
どの欄ですか?
基本給、管理手当、
資格手当などの総支給額
雇用保険 健康保険、
厚生年金、所得税など
控除される額
財形貯蓄など
天引形式の貯蓄
最終的な手取り額
私は一番はじめに最終手取り額
続いて残業手当
諸経費控除前の総支給額
控除される額の順でした。
最終手取り額と総支給額を比べ
何がこんなに引かれているのか
という感じでした。
でもこの控除が
ちゃんとされているということは
とても大切なことなんです。
由紀子さん
これからお話するのは
架空のお話です。
由紀子さんは高校を卒業してから
35年間もの期間
同じ会社で勤めてきました。
会社は地域では中堅の会社で
日本人の生活の質が向上するに伴い
順調に業績を伸ばしてきていました。
由紀子さんの仕事は
一貫して経理部門でしたが
真面目で優秀だった彼女は
支店の経理指導も担当するなど
仕事ぶりも評価されていました。
しかし古い体質の会社で
彼女が役職につくことは
ありませんでした。
彼女が50歳を過ぎた頃に
バブルが弾けると
勢いに乗って支店展開を
図ってきたのがあだとなり
会社の業績は落ちていきました。
小さい会社の頃に
由紀子さんを採用して以来
なにかと眼をかけてくれていた会長も
過労で倒れてそのまま亡くなりました。
由紀子さんの地獄は
そこからはじまりました。
給料が高くて仕事に詳しく
何事もキチンとしてきた
由紀子さん
気になったことを次々と指摘して
若い子を育てたいという意識が
すっかり裏目に出てしまったのです。
自分よりも10歳以上若い課長には
なにかとうるさがられ
珍しく若い子たちが
食事に誘ってきたと思ったら
彼女に奢らせようとしていたり
それもそそのかしたのが
課長だとわかったり。
半年も経つと
精神的にすっかり参ってしまいました。
一日中続く頭痛と
時には眩暈と吐き気
それでもなんとか仕事に行っていました。
しかしこのような
報われることのない孤軍奮闘が
いつまでも続くはずがありません。
ある朝、会社に出勤した彼女は
彼女以外の社員が早朝会議に
出席していることを知りました。
自分がすっかり戦力外扱いと思った時
心臓の鼓動が激しくなり
瞬間でしたが気を失いかけました。
どうにもならない頭痛と吐き気。
由紀子さんは
会議室から戻った課長のところに
息も絶え絶えに行って
「今日は気分が悪いので
帰らせてください。」
と訴えました。
課長の回答は
「帰ることは認めないよ。
どうしてもと言うなら
退職願を書いて帰りなさい。」
というものでした。
由紀子さんは迷いました。
何故、迷ったかと言うと
自分がいなくなったら
職場が困るのではないかと
思ったのです。
事実、由紀子さんは
その会社の帳簿や
経理伝票の6割を
一人で処理していました。
亡くなった会長に対する
申し訳なさもありました。
しかし体調不良は
待ったなしで襲ってきます。
由紀子さんは自分の席に戻り
退職届を書きはじめました。
課長が由紀子さんの席に来て
「体調が悪いところ申し訳ないが
一身上の都合でと入れてくれないか」
優しく言いました。
もう何がどうなってもいいと
思ってしまった由紀子さん。
『一身上の都合で退職します。』
と書いてしまったのです。
家に帰ってすぐに横になり
3日ほどは何も考えられずに
寝たり起きたりしていました。
数日たって会社から
「離職証明書に記名捺印がいるので
一度来てください」
と電話で連絡があり
由紀子さんは改めて
事態を認識しました。
すぐに課長に電話をして
「具合が悪くて何も考えられずに
退職届を書いてしまいました。
退職を撤回します。」
と告げましたが
課長の返事は
「もう無理だよ。
きみは自分の意志で退職届を書いて
出したのだし
上の承認ももらっている。
退職手続きもはじまってるから。」
というものでした。
由紀子さんはなすすべもなく
退職するしかなかったのです。
ハラスメント
ハラスメントという言葉は
すっかりおなじみになりました。
「それもハラスメント?」
と驚くこともあるくらい市民権を得た
言葉となっています。
しかしバブルが弾けたころは
まだハラスメントの概念が
一般的に知られておらず、
不当な扱いを受けていると
訴えるすべもわからずに
泣き寝入りしたケースが
数えきれないほどありました。
なかにはハラスメントの
被害者になっていることに気が付かず
「成績が悪い」ことや
「成績が伸びない」ことを口実に
人格否定までされても
力が足りないからと
自分を否定するケースまであったのです。
労働福祉制度利用の基本
由紀子さんのように不本意の状態で
退職扱いにされてしまったケースの場合
まず、相談する先は弁護士です。
その前に労働者を守るための
制度利用の基本的なポイントを
お話します。
第一のポイントは
自分が置かれている状況を
理解しないままで
退職届や退職願いは
出さないことが大切です。
一番初めにお話した
給与からの控除で支払われ
労働者に保障されている
労働福祉制度の利用には
退職してしまう前に
要件の整理をした方が
いいものがあるからです。
色々な手続きで
会社の協力も必要です。
社員であれば例えば会社が
手続きに非協力的でも
訴える先があります。
退職してしまい
労働者ではなくなった時に
会社の不当行為があった場合
その証拠をどのように手に入れるか
という問題も生じます。
第二のポイントは
やむをえず退職届を書く際も
退職するのが
自分の意向ではない場合
『一身上の都合で』
の記載はしないことです。
会社都合と自己都合では
雇用保険の扱いも違ってきます。
職場によっては退職金の扱いが
違うところもあります。
第三のポイントは
会社の就業規則などで
何についどのように定められているか
また自分は
どのような形で雇用契約がされているか
など確認できる書類を保管することです。
残業手当の不払いなどがあった時、
あるいはサービス残業や
過度の残業が問題になる時は
残業の時間の記録のメモを
手元に残しておくだけでも
違ってきます。
とここまでお話しましたが
働いていてよくわからないけど
色々な書類を渡されたり
色々な規則があるけど
良く知らなかったり。
関心がなければ
面倒であまり気にしないかもしれません。
それでもいいのです。
ただ、書類だけは
ちゃんと保管しておいてください。
もしかするとそれは
なくてはならない書類かも
しれません。
幾つかの労働福祉制度については
さらに3回でお話していきます。
この記事は【これだけは知っておこう労働福祉】の1回目です。
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