こんにちは!
ノアです
生活保護って
背景に色々なことがあるんですよ
なにしろ人の
「生活」を「保護」するという
大胆な制度ですから
すぐに泣く人
Kさんは母子家庭
3年前に離婚をして
高校生の息子と
2人暮らしでした
前任者から
「この人
すぐに泣くんだよね
やりずらくて」
愚痴交じりに
そんな話を聞いていました
担当になって
はじめて家庭訪問をしました
「その後
お仕事は探していますか?」
「色々と忙しくて」
Kさんは言い淀みます
求職について
どう話そうかと考えていると
「お向かいの
Hさんも保護ですよね?」
Kさんは言いました
「どうしてそう思うのですか?」
「本人に聞いたんです」
「そうですか」
「Hさんはお金を私よりも
多くもらっていますよね」
「今Hさんの金額はわかりませんし
Hさんのことは
Kさんに関係ないですよね?」
「でも子どもの年齢もうちと同じだし
仕事をしていないのに
求職しろと言われないと
言っていました」
「もう一度言います
私はHさんのことで
来ているのではありませんし
Hさんがどうだろうと
Kさんが求職しない
理由にはならないですよね?」
私は意識をして
できるだけ穏やかに言いました
Kさんは泣き出しました
「だってHさんだけ
ずるいじゃないですか」
本当に泣いているのかどうか
うつむいて気弱に言うKさんに
私は言いました
「Kさん
人は健康状態も
母子家庭になった理由も
親兄弟との関係も
違っています
状況が似ていても
同じではない以上
人は人で自分は自分
と考えないと
前に進めませんよ」
私の言葉が
どこまでKさんに届いたのか
かなり怪しかったのですが
この担当者は
ほかの人と自分は
扱いが違うと訴えても
つうじないとは思ったようです
その後は
泣きながら「あの人は…」
と人と比べることがあっても
「人は人
私は私だけれど」
と付け加えるようになりました
Kさんのように
ほかの人と比べられても
「あの人はこういう事情があり
あなたとは違うので」
とほかの人のことを話すことは
絶対にありませんし
ほかの人と比べても
無意味です
それは各世帯によって
事情が違うからです
詳しく話を聞く理由
生活保護では
申請する時も
受けてからも
対象となる人の
お金の出入りや生活について
かなり細かいことまで
確認します
例えばある人の
生活できなくなった理由が
離婚だったとすると
慰謝料や養育費が
請求できるかもしれません
老後の年金分割の申し立ても
急がなくてはなりません
兄弟姉妹との関係が良ければ
仕事を世話してもらったり
前夫(子供の父親)
との関係性も違えば
職歴や今後の就労復帰の
見込みなども違います
健康そうに見えても
内部疾患により働けない人
収入は少しでも
働いている人もいます
あるいは
今住んでいる家が自宅で
雨漏りがするなら
修繕も必要ですし
中学校に入学する子がいるなら
制服やカバンを
買うお金も必要です
このように申請の相談窓口も
生活保護を受けている時の
担当ケースワーカーも
その人が生活保護以外に
利用できる術はないのか
最低限の生活をするため
早急に賄わなければならない
費用はないのか
などを判断するために
細かい話を聞く
必要があるのです
違う個々人と向き合う
忙しくて求職できない
あの人は得している
車の運転は大丈夫
どうしても車が必要
人にはそれぞれの
生活と価値観があります
特に生活保護は
生活するお金がなくて
申請するのは共通していても
お金がなくなった理由も色々
生活保護になる前の生活も色々
お金の使い方も色々
申請の時に残っている
預貯金の額も違いますし
生活保護になったら
基本の額は幾らなのかも
違います
「あの人が
生活保護を受けているなら
うちも受けられる」
とはなりませんし
逆も然りです
ですから生活保護の担当者は
各世帯の
個々人の生活まで把握して
自力で生活するために
その人が今できることはないか
色々と調べて助言をし
あるいは
急な出費で
支援できることはないか
判断するためにいます
生活保護という制度
生活保護は
生活をゼロから
立て直すために
利用するか
一生懸命に努力しても
自力では生活できない人を
国が責任を持って
支援するための制度です
このことは
生活保護を利用する人も
利用しない人も
認識してほしいと思います
保護を受けている人が
みんなただ楽をして
お金をもらっている
と誤解をしたり
生活保護を受けながら
ぶらぶらして
受給し続けることを
なにか得をしているように
考えたりなど
大切な制度でありながら
その趣旨が歪んで
捕えられている実態があることを
否定できないのはとても残念です
このことについては
また後日
改めてお話ししますね
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