社会は人の支え合いでできている

ピンチの時自分を救うのは 人を信頼できる自分かもしれない

こんにちは!ノアです。

冬真っ盛り。
この季節になると
思い出します。

ホワイトアウトの中を
車を走らせて駆けつけた
あの日のこと。

 

1本の電話

その電話がかかってきたのは
昼休みが間もなく終わる頃でした。

 

「Wです」
声の主は保健所支所の保健師でした。

 

「私、今、会議で本所にいるのですが…」

W保健師はためらいもなく
続けました。

 

「Pさんが急変して

支所に電話をかけてきたと
連絡があったんです。

私、どうしても会議を抜けられなくて」

 

私は精神障害がある
Pさんの顔を浮かべました。

自傷の心配がある人です。

 

「わかりました。
私が行きます。」

 

私はすぐに答えました。

「お願いします。」

気持がいいくらい
打てば響くやり取りの後

 

電話を切って車の手配をし、
視線を向けた窓の外は
少し雪が降っていました。

 

「気を付けて」
同僚に声をかけられながら
私は部屋を飛び出しました。

 

進むも戻るも

市街地を抜けるまでは
視界も良好で

何の問題もありませんでした。

 

ところが市街地を出てすぐに
風が激しくなり
雪が空中を舞い始めたのです。

 

それはよくあることでした。

風は一時的なもので
走っていると治まるのです。

 

ところがその日に限って、
風は治まるどころか
激しさを増していきました。

 

対向車も歩行者も
見落とすと大変なことになります。

どんどん視界が悪くなり

私は前後左右何も見えない
真っ白い世界を走っていました。

 

このような時に
恐怖で停まってしまうのは
とても危険です。

片側3車線の国道で
立往生などしようものなら

いつ後続車に追突されるか

それは自家用車かもしれないし
大型トラックか
バスかもしれないのです。

 

私はハンドルを握りしめました。

何も見えなくても

自分がどこにいるのか
わからなくても

とにかく走り続けるしか
ありません。

 

それに私はどうしても

W保健師の代わりに
行かなければならないと

硬く決心していました。

 

緊急時に頼める人として
連絡をしてきた

W保健師の信頼に
答えたかったのです。

 

 

能力のない人論争

ホワイトアウトの中を走ったのは
W保健師と初めて会って
せいぜい半年くらいの頃でした。

 

保健所の支所で
精神障がい者を担当している
W保健師とは

私のクライエントの支援を
どうするかという会議で
初めて会いました。

 

それぞれの情報を交換し
支援をどうするかという本題に入った時、

 

W保健師が
「Yさんのように能力のない人は…」
と口火を切ったのです

 

「ちょっと待ってください」
私は彼女の発言を遮りました。

 

「能力がない人という受け止めは
誤っていませんか?

困難な病気の人というだけのことですよね。」

 

「でも、能力がないから
現にこうして支援が必要だと
話しているのではありませんか?」

 

「病気のために困難を抱えていることと
出来る出来ないということは
別だと思いますが」

 

私たちはそんなやり取りを
激しく繰り返しました。

あまりに激しかったので
ほかの人たちは誰も
言葉を差しはさもうとは
しませんでした。

 

口論の果てに

実はこの会議がその後
どこに向かってどう流れて
どういう結論に至ったのか
憶えていません。

 

憶えているのは
その後もしばらく
腹が立っていたことと

W保健師には
できるだけ近寄らないで
やり過ごしてきたことだけです。

 

W保健師の方でも
何かで連絡をしてくることは
ありませんでした。

 

そして突然
W保健師の方から

それまで私たちの共通の話題に
なったことのない
クライエントのことで

支援の依頼があったのです。

 

ホワイトアウトの道を抜けて
会うことができたPさんは

幸いなことに
すっかり落ち着いていました。

 

私はPさんの様子を確認した帰りに
保健所支所に立ち寄り

本所で会議を終えたW保健師に
支所から電話で
事の次第を報告しました。

 

その後も直接会うことはないまま
W保健師は別部署に
異動していきました。

 

今思い返すとW保健師とは
どういう縁があったのだろうと
不思議な気がします。

 

折り合えなかった口論

 

彼女がためらいなく
示してくれた信頼

 

後に異動した先で
出会った保健師が

「W保健師が、
ノアさんを一生懸命な人と
言っていました。」

と伝えてくれました。

 

「一生懸命なのは
W保健師の方だと思う。

気が付いたら
巻き込まれていた感じ」

笑って答えたものの

 

私、巻き込まれて
命かけたくらいだよ

という言葉は
飲み込みました。

 

それでも彼女に答えたいと
思ってしまった私は

もしかするとW保健師のことが
結構、好きだったのかもと

今は心ひそかに思っています。

 

みなさんはどうですか?
こんなちょっと不思議な関係
どこかに転がっていませんか?

 

「ああ、そう言えば」

もし、そんな風に思い当たる
出会いがあるとするなら

それはきっと
大切な心の宝物ですよね。

 

ピンチの時、

あの人ならきっと
助けてくれる。

そう信じることができたら、
乗り越えられないピンチなどない。

そう思いませんか?

 

 

 

 

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