こんにちは!
ノアです
親の価値観が
次の世代に
引き継がれる
よく聞く話ですね
理解できない
生活保護の担当
ケースワーカーFさん
20代の男性です
Fさんのその日は
電話ではじまりました
30分も電話で話していたでしょうか
「どうして
なにをやっても無駄だ
なんて思うんだ!」
電話が終わるなり
Fさんは怒ってそう言いました
「Mさんの就職?」
Fさんに声をかけたのは
30代のベテランケースワーカーKさん
Mさんのことではしばしば
Fさんの相談にのっていました
Fさんはまだ20代後半のMさんに
なんとか仕事について
自立してほしいと
Mさんが希望する仕事の
情報を集めたり
Mさんにアドバイスを
してきたのです
「良い話だと思うんです。
地元を離れることになるけど
職場は全寮制で
食住の心配はないし
定時制の高校だって
行くチャンスもあるのに
自分のこれからを考えたら
俺なら迷わず行きます」
(なのにどうしてMさんは
行かないという
選択になるのか?)
KさんはFさんに言いました
「私のクライエントに
この間S市の病院で
精密検査を受けてきたらと
言ったのね
その人60代なんだけど
嫌だと言うの
どうしてかというと
生まれてから一度も
住んでいる町から
出たことがないから
つまりそういうことだよ
きっと」
やったことがないこと
FさんはKさんの話が
理解できないようでした
「そんな人がいるんですか?」
「いるね」
「でもMさんは今のままだと
食べていけないんですよ
まだ20代後半なのに」
「ずっと生活保護を受けながら
成長してきて
親も生活保護でしか
食べたことがなくて
それが楽とかどうとかより
生活保護で食べる
という価値観しか
彼の周囲にはなかった
ということもあるかもね」
Kさんは言いました
「そのような環境と価値観で
成長してきたこと自体が
Mさんが背負ってきてしまった
一番大きなハンディだとは
思えない?」
Kさんに言われても
Fさんは不満でした
Fさんには
やはりこのチャンスを
つかもうとしないMさんが
理解できなかったのです
生きていく知恵
どうして
わからないんだ!
と言うFさんの気持ちが自分にも
よほど身近な価値観だという人は
少なくないでしょう
生まれ育った町から
一歩も出たことがないと
クライエントから聞いた時は
Kさんも「ええっ?」
と思いました
でも確かに
小さな町に住んでいても
わざわざ隣り町に行かなくても
住む家もあれば
お店や病院もあります
乗ったことのないバスに乗ったり
買ったことがない切符を買って
列車に乗ったり
そんなことをしなくても
生活はできます
ただそれは同時に
地元に仕事がなかったら
働けなかったり
隣り町に行くと
半額で買えるものを
定価で買うしかなかったり
設備が整った病院なら
発見されるかもしれない
病気に気が付かなかったり
そういうことでもあります
なかなか仕事が見つからない
地元にいたままで
ほかの街で仕事をすると
もっとお金が
たくさん手にできて
生活保護を受けなくても
楽に生活ができる
そういうことを
知らないまま生活を続けて
こんなものだと
思い込んでしまう
あるいは
思い込まされてしまう
そういう生育環境を
ハンディと言わずして
なんと呼べばいいのでしょうか
情報はそこにあっても
今はテレビや新聞を見なくても
ネットなどで色々な情報が取れます
普通に考えると
仕事のことも
進学のことも
いくらでも
情報が入手できそうな
ものなのですが
人は自分が入手しようとしなければ
どんなにいい情報も
探したり見たりしません
新築のマンションの広告が
目の前にあったとしても
入手する意図があるか
手が届きそうな物件だと思うか
百歩譲って
憧れで見るかでもなければ
見ないものです
自分には関係がない情報
と思ったら
どんなにいい情報も
目に入らないのです
価値観の継承
親が日銭を稼いで
家族を養う
ある程度の金額が
稼ぎ出されるのであれば
なるほど生活はできるでしょう
そうやって
生活している親に養われ
成長した時に
子どもが親と同じように
日銭を稼げば生活できる
そう学んだとしても
何の不思議もないことです
限られた情報で
価値観が形成されると
実は社会で生きていくための
知恵が学びきれていない
ということに
気が付かないままに
なってしまうことがあります
例えば収入のもとである
からだを壊した時
生活が一気に崩壊します
健康だから丈夫だから
高い国民健康保険料を
払っていられるかと
考える人がいます
そうしていざ病気になると
お金も保険証もなくて
病院に行けないのです
このような事態を防ぐ方法は
教育しかありません
教育は成績がどうとか
進学するためとか
それだけが目的ではないですし
学校で学ぶだけでもないのです
子どもの貧困が問題視される今
本当の教育とは
社会で生きていく知恵を
身に着けてもらうこと
だと思うのですが
みなさんはどう思いますか?
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